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媒介契約で失敗しないために仲介手数料の妥当性を判断する方法

媒介契約で失敗しないために仲介手数料の妥当性を判断する方法

不動産会社との媒介契約では「仲介手数料」という費用が発生しますが、どのような費用なのか、また相場なども気になりますよね。仲介手数料についてよく知らないまま契約してしまうと、料金を提示されたときにその金額が妥当なのか判断ができず、結果として売却に失敗してしまう恐れがあります。

また不動産売却にかかる費用はなるべく安く抑えたいところですが、安さだけで選ぶのはあまりおすすめできません。なぜなら仲介手数料は、不動産会社のサービスの質と深い関わりがあるからです。媒介契約では仲介手数料を参考に、信頼できる不動産会社を見極めることが大切です。

そこで今回は、媒介契約で失敗しないために、仲介手数料の妥当性を判断するためのポイントについてお伝えします。

目次

  1. 媒介契約における仲介手数料とは
  2. 仲介手数料が妥当かどうかを判断する方法
    1. 仲介手数料の上限額を計算しておく
    2. 複数会社の見積もりを比較する
  3. まとめ

媒介契約における仲介手数料とは

媒介契約における仲介手数料とは

仲介手数料の妥当性を考える前に、そもそも仲介手数料とは何のためにあるのかを理解しておきましょう。不動産会社と媒介契約を結んだときにかかる仲介手数料は、売却が成立したときの「成功報酬」のことです。

不動産会社と媒介契約を結ぶと、その会社は売却をスムーズに成立させるために事務手続きや宣伝、売主と買主のサポートや契約条件の調整などさまざまな業務を行ってくれます。不動産の売却には専門的な知識が必要なため、売主が自分の力だけで買い手を見つけて契約を結ぶのはなかなか困難です。

そこで売主がスムーズに売却できるよう不動産会社を媒介し、成立すればその報酬として仲介手数料を支払うというわけです。仲介手数料は売却が成立して初めて発生する費用なので、成立しなければ支払う必要はありません。

仲介手数料は基本的に売却価格をもとに算出され、売却が決まったときと引き渡し時にそれぞれ半額ずつ支払うのが一般的です。法律により上限額は決まっていますが、下限額の決まりはありません。そのため会社によってほぼ上限額通りに請求されることもあれば、安い場合もあります。

仲介手数料が妥当かどうかを判断する方法

仲介手数料が妥当かどうかを判断する方法

仲介手数料は、上限額の範囲内であれば不動産会社が自由に設定できますが、その金額が果たして妥当なのか、気になりますよね。手数料の安い会社に注目してしまいがちですが、重要なのはその金額で満足できるサービスを受けられるかどうかです。ここでは媒介契約を結ぶ前に、仲介手数料の妥当性を判断する方法についてご紹介します。

仲介手数料の上限額を計算しておく

不動産の媒介契約における仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が定められており、その金額を超える手数料は請求されない決まりです。仲介手数料の上限額は、提示される金額が適正かどうかを判断する一つの目安となるため、前もって計算しておくと良いでしょう

仲介手数料の上限額の計算方法は、正式には次のように定められています。

売却価格が200万円以下の部分売却価格(税抜) × 5% + 消費税
売却価格が200万円超400万円以下の部分売却価格(税抜) × 4% + 消費税
売却価格が400万円を超える部分売却価格(税抜) × 3% + 消費税

この計算式は少々複雑で、たとえば売却価格が1,500万円の物件の場合は1,500万円を上の3つの部分に分けて計算しなければなりません。そこで売却価格が400万円を超える物件に関しては「売却価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税10%」という速算式を用いると簡単に上限額を求められます。

この速算式に先ほどの例を当てはめると、仲介手数料の上限額は「1500万円 × 3% + 6万円 + 消費税10%=51万円 + 消費税5.1万円=56.1万円」となります。ただし、売却価格が400万円以下の物件に関しては正式な計算式を用いなければならないので注意しましょう。

また、2024年7月以降は、売却価格が800万円以下の空き家等に限り、仲介手数料の上限を「30万円 + 消費税」とする特例が新たに設けられています。この特例を利用するには、事前に説明と合意が必要です。こうした最新の規制も踏まえて、計算時には適用対象かどうかを確認しておきましょう。

複数会社の見積もりを比較する

仲介手数料の妥当性を判断するには、複数の不動産会社から見積もりを取り、各社のサービス内容を比較することが大切です。媒介する不動産会社の信頼度は必ずしも仲介手数料の金額で判断できるわけではないですが、目安を付けることはできます。

一概には言えませんが、仲介手数料の安い会社は実績がなかったり担当者の経験が浅かったりするリスクがあります。担当者に経験や交渉力がなければ本来の売却価格よりも大幅に下げられてしまい、売却後のサポートも十分に受けられないかもしれません。

一方で、手数料が高い会社は、経験豊富な担当者が付いてくれる可能性が高いです。結果的に高額で売却できれば、手数料が高くてもそれ以上の利益が期待できます。高額でスムーズな売却は、高い専門知識やノウハウがあってこそ実現するので、手数料が高いのは妥当だと言えるでしょう

このように手数料が高い理由や、安い場合のリスクについて知っておくと、見積もりの比較をするときに役立ちます。口コミなどもチェックし、会社の印象やサービスの満足度についても知っておくとなお安心です。

とはいえ、一社一社に見積もり依頼をするのはなかなか大変ですよね。そんなときは、便利な不動産の一括査定サービスを利用すれば、自分に最適な不動産会社をよりスムーズに見つけられるでしょう。

まとめ

さて、今回は不動産の媒介契約で失敗しないために、仲介手数料の妥当性を判断する方法についてお伝えしました。

媒介契約における仲介手数料は、不動産会社が売却を成立させたときの「成功報酬」です。仲介手数料は物件価格によるため、相場というものがありません。ただ、売却価格から上限額を計算したり、複数の会社から見積もりを取ったりすれば、その金額が妥当かどうかをある程度判断できます

忙しくて複数の会社に見積もり依頼をするのが難しいときは、便利な一括査定サービスを利用するのもおすすめです。簡単に仲介手数料を比較できるうえ、自分に合った不動産会社と出会えるチャンスも多くなるでしょう。

仲介手数料の妥当性を判断できると、売却を成功させてくれたことへの感謝の気持ちで手数料を支払えるので、お互いに良い関係を築けます。良い不動産会社と巡り合い、売却をスムーズに成立させるためにも、しっかり事前準備をしておきましょう!

(参考文献)
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額. 国土交通省, 2024-06-21, (閲覧日 2025-05-25).

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