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簡単解説!位置指定道路の不動産売買で知っておきたい5つのポイント

簡単解説!位置指定道路の不動産売買で知っておきたい5つのポイント

位置指定道路に面した不動産の売買を考えている方は、「これって普通の道路と何が違うんだろう」と疑問に思いますよね。「土地を売ろうと思ったら、前の道路が“位置指定道路”って言われたんだけど」と立ち止まることも……。

位置指定道路に面した不動産の売買は、ちょっとした知識がないと進めにくいことがあります。

たとえば、権利関係が複雑だったり、例外的にセットバック(道路を広げるために土地を後退させること)が必要になる特殊なケースがあったりします。さらに、ライフラインの設置が進んでいない場合は、新たに整備が必要になることもあります。

でも大丈夫です!実は、位置指定道路付きの不動産を売買する際は、いくつかのポイントを押さえるだけでトラブルを未然に防げるんです。そこで今回は、「位置指定道路ってそもそも何?」という基本から、売却時に気をつけたい5つのポイントまでを分かりやすくお伝えします。

目次

  1. 位置指定道路とは行政が認めた主に私道のこと
  2. 位置指定道路なのにセットバックが必要な特殊なケース
  3. 位置指定道路の不動産売買前にチェックすべき権利関係
  4. 位置指定道路のライフライン埋設と注意点
  5. 位置指定道路の不動産価値と売却時のポイント
  6. まとめ

位置指定道路とは行政が認めた主に私道のこと

位置指定道路とは行政が認めた主に私道のこと

位置指定道路とは、簡単に言うと「この道なら家を建ててもOK」と行政が認めた私道のことです。

詳しく説明すると、建築基準法第42条1項5号に基づいて特定行政庁(市区町村)が指定した道路のことを指し、五号道路とも呼ばれます。幅員4メートル以上の主に私道(一部例外的な公道)が指定され、建築基準法上の道路として扱うことが可能になります。

位置指定道路のイメージ図

たとえば、分譲地ではよくある話なんですが、公道じゃなくて私道に面している土地がありますよね。その私道が位置指定道路に当たることがあります。

特に分譲地では、位置指定道路を宅地の所有者同士で共有しているケースも多く、位置指定道路は公道と違って住民が維持管理をしていくことになります。だからこそ、位置指定道路付き不動産の売買を考えている場合は「この道は誰がどれだけの権利を持ってる?」とか「管理は誰がやってるの?」としっかり確認しておく必要があります

位置指定道路なのにセットバックが必要な特殊なケース

位置指定道路なのにセットバックが必要な特殊なケース

そもそもセットバックとは、幅員4メートル未満の二項道路に面する建築時に義務付けられているものです。位置指定道路は幅員4メートル以上なので本来はセットバックが義務付けられることはありません。

でも「この道、ちょっと狭いかも……」と思ったら要注意。古くに指定された位置指定道路が4メートル未満などの特殊なケースだと、家を建てるときに「ちょっと後ろに下がってくださいね」と敷地を後退させる必要があるんです

たとえば、道路の幅が3メートルしかない場合は、片側の土地所有者が50センチずつセットバックすることで、将来的に道路幅を4メートルに広げられるようになります。そして、セットバックした範囲には建物は建てられません。

位置指定道路なのに不動産売買の際にセットバックが必要になる特殊なケースは、たとえば下記のようなものがあります。

  • 過去の基準で指定されて、現行の建築基準法の基準を満たしていない道路。
  • 位置指定道路の一部の区間が4メートル未満でその区間に面する敷地。
  • 指定当時から周辺状況が建て替えや再開発などによって変化して、行政から再指定を求められたケース。

したがって、位置指定道路に面した不動産の売買をする際は、念のため現行の基準を満たしたセットバック義務のない道路かどうか、行政への確認も含めて不動産会社に確認しておきましょう!

位置指定道路の不動産売買前にチェックすべき権利関係

位置指定道路の不動産売買前にチェックすべき権利関係

「土地を売ろうとしたら、前の道路が“共有持分”になっていて他の人の同意が必要と言われた」なんて話、意外とよくあるんです。

たとえば、兄弟で土地を相続した場合、家だけでなく位置指定道路の持分も兄弟で分け合うことになります。いざ土地を売却しようとしても、「あれ?道路の権利もみんなで持ってるの?」ということに気付くのは意外と後だったりします。

位置指定道路に面した不動産の売買では、この「権利関係」がスムーズに売却を進めるカギになります。

特に注意したいのは、道路が共有持分になっているケース。売却には他の共有者全員の同意が必要になることがあるんです。もし他の共有者が「売りたくない」と反対した場合、売却が進まないことも……。

事前に法務局で登記簿を確認して、「自分がどれくらい持っているのか」「他に誰が持っているのか」をチェックしておくことが大切です。

位置指定道路のライフライン埋設と注意点

位置指定道路のライフライン埋設と注意点

位置指定道路に面した不動産の売買をするときに意外と見落としがちなのがライフラインの問題です。「家は建てられるけど、電気・ガス・水道管は通っているの?」という部分です。電気・ガス・水道管などのライフライン設備がまだ通っていない場合、あとから自分で工事をしないといけません。

さらに、2023年の民法改正で共有物の管理に関するルールが整理されました。位置指定道路が共有持分になっていると道路も共有物になるので、ライフライン設備の埋設工事が「管理行為」とみなされた場合は共有者過半数の同意が必要で、「変更行為」とみなされた場合は共有者全員の同意が必要になります。

これが結構やっかいで、「水道を引きたいけど、他の持ち主が反対して進まない……」なんてケースも増える可能性があります

だからこそ、位置指定道路に面した不動産を売却する前に、ライフラインがちゃんと整備されているかを確認しておくのが大事です。もし問題が見つかったら、早めに動いておいた方があとあと楽になります。逆に不動産を買おうとしている場合は、「ライフラインの設置は大丈夫?」としっかりチェックしておけば安心です。

売る側も買う側も、ライフラインの確認は忘れずに!

位置指定道路の不動産価値と売却時のポイント

位置指定道路の不動産価値と売却時のポイント

位置指定道路に面した不動産の売買では、維持管理状況や指定状況が資産価値を大きく左右します。しっかり舗装されていてライフラインも整っている場合は価値が高くなりやすいですが、維持管理が不十分な場合や、セットバックが必要な特殊なケースは売却価格が下がる可能性があります。

売却を考えている場合は、まず不動産会社に査定を依頼し、位置指定道路の状況を伝えましょう。査定を受ける際は、「道路の持分はどのくらいあるのか」「ライフラインは整っているか」といった点をしっかり確認しておくことが大切です。また、購入希望者が安心できるように、詳細な状況を説明できるようにしておくと、売却がスムーズに進みます。

まとめ

さて今回は、位置指定道路に面した不動産の売買について、知っておくと安心なポイントをお伝えしました。位置指定道路って見た目は普通の道路と変わらないのですが、権利関係や管理のルールがちょっと違うんです。だからこそ、売ったり買ったりするときには気をつけるポイントがあります。

位置指定道路に面した不動産の売買をスムーズに進めるには、事前の準備がカギ。売る場合は、まず「この道路の権利は誰が持ってるんだろう?」とか、「名義ってちゃんと自分になってるのかな?」といったところから確認していきましょう。特に、共有者がいる場合は「みんなで話し合う」っていうのが重要になります。

あと、電気やガス、水道といったライフライン設備が通っているかどうか、例外的にセットバック義務がある特殊なケースではないかも確認しておくと安心です。

買う側も同じで、「この位置指定道路って問題ないの?」と権利や状況をしっかりチェックしておけば、後々のトラブルを防げます。ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、一人じゃ難しいと思ったら専門家に相談しながら一つずつ進めていきましょう!

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