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借地権の査定方法と基礎知識を初心者にも分かりやすく解説

借地権を査定すると言っても、そもそも借地権というワードにあまり聞き馴染みないですよね。
実は、お家やビルの土地が、所有権ではなく借地権であるケースって意外と多いんです。地価の高い地域では、借地権割合(土地の価格に対する借地権の価値の比率)が高くなる傾向があり、住宅地で6~7割、商業地で8~9割程度というデータもあります。
所有している借地権付き建物の売却を考えていて、いざ査定に出したときに、基礎知識や相場を知っていないと安く買い叩かれてしまうかもしれません。「そもそも借地権とはどういう権利なのか」、「どうやって査定するのか」などは借地権付き建物オーナーの方には必須知識でしょう。
今回は、聞き覚えのないようで意外と身近な借地権の査定方法と基礎知識を、初心者の方にも分かりやすく解説します!
そもそも借地権って何、どうやって査定するのか

借地権とは、地主に賃料などを支払うことで、その土地に不動産を建てたり利用できる権利のことで、地上権と賃借権の2種類がありますが、一般的には賃借権が使われることが多いです。
賃借権の場合は、借地上の建物の建て替えや売却をする際に、地主の承諾が必要になります。また、建物の所有が前提の権利なので、駐車場や資材置き場のように建物を伴わない土地の利用では借地権は発生しないなど、地上権と比べてかなり制限されています。
メリットとしては、土地の固定資産税がかからないことや、物件価格が比較的安いことです。一方、デメリットは毎月土地の賃料がかかることと、売却や建て替え、抵当権の設定に地主の承諾が必要となります。
加えて、借地権付き建物を査定する際は借地権割合にも着目しなければなりません。借地権割合は、国税庁のウェブサイトにある「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」にAからGの7つの記号に対応した、90から30の10%刻み7段階で記載されています。少しややこしく聞こえますが意外と単純なので、軽い予習をして内容を理解しましょう!
借地権の査定額を計算しよう!

借地権の査定額をざっくり言うと、土地の評価額に借地権割合をかけた金額になります。
たとえば、大阪市西区新町1丁目25番地は「1000C」とあるので、①評価額は、路線価1000千円 = 100万円 = 1㎡あたりの土地価格となります。②借地権割合は、C = 70%です。
例: 50㎡の借地権付き建物を所有している場合、土地の査定額は、①100万円 x 50㎡ = 5000万円、これに②借地権割合の70%をかけて、5000万円 x 0.7 = 3500万円が当該地の借地権の査定額になります。
※上記は所有権のある更地の場合です。
借地権の査定額は売買時の参考になるのか
借地権の売買時に借地権割合が話題になることがありますが、これは課税額を決めるための基準に過ぎず、実際の売却価格に直結するわけではありません。借地権割合は所有権価格をもとにしており、所有権は言い換えると、借地権と底地の組み合わせです。そのため、借地権と底地を別々に売却すると、価値が下がる可能性があります。
※借地権が設定された土地を底地(そこち)または貸地といいます。
たとえば、上記の新町1丁目25番地の更地価格5,000万円の土地の借地権を売却する場合、借地権割合が70%でも3500万円で売れるとは限りません。
また、売却時には地主に譲渡承諾料を支払う必要があり、相場としては借地権価格の約10%前後となることが多いです。さらに、底地は利用に制限があるため、売却が難しいこともあります。借地権割合は、あくまで売却金額を査定する際の目安として考えましょう。
まとめ
さて、今回は借地権の査定方法と基礎知識を解説しました。
借地権とは建物所有を目的とした土地の賃借権のことで、借地権付き建物の場合には、物件購入時に費用を抑えられる可能性があります。しかし、売却や抵当権の設定には地主の承諾が必要なことや、毎月地代がかかるなどのデメリットもあるので、頭に入れておきましょう。
借地権の査定方法は、「土地の評価額に借地権割合をかけた金額」と、シンプルに計算できるので、ある程度の査定額を予想することも可能です。しかし、この金額はあくまで課税額の基準です。実際の借地権の売却価格には、底地や地主への譲渡承諾料などさまざまな要素が絡み、査定金額を大きく下回ることもあるので注意しましょう。
借地権の査定方法と基礎知識は、借地権付き建物オーナーの方や現在購入を考えている方にとって不可欠な情報です。不動産取引で損をしないために、借地権に関する知識をしっかり身につけましょう!